2021.01.15

【UBS SuMi TRUSTオンラインセミナーレポート】
2020年11月24日~30日配信
コロナ後の世界のリスクシナリオを考える
―増税・インフレリスクに備えた投資戦略と実物資産の活用―

セミナー

不動産投資

資産運用

※掲載の情報は2021年01月15日時点のものです

2020年11月に開催したオンラインセミナーの内容をレポートでお届けします。

コロナショックに対応するため各国の財政支出と金融緩和が一段と進み、金融経済の中長期展望に不透明感が増す中、コロナ後の10年を見ていくにあたってのリスクに備えた投資戦略の考え方、またリスクシナリオ局面における実物資産、特に不動産の魅力、活用事例等についてご紹介しました。

第一部 「コロナ後の10年:新常態とリスク」
UBS証券株式会社 ウェルス・マネジメント本部 チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)日本地域最高投資責任者兼日本経済担当チーフエコノミスト
青木 大樹 氏

第二部「実物資産としての不動産の魅力」
三井住友信託銀行株式会社 ウェルス・マネジメント部主管兼上級主席財務コンサルタント
石井 隆 氏

【第一部/青木氏】

世界は大きく変わり始めている

まず米大統領選後の市場分析から始まった第一部。新型コロナについてはワクチン開発に関して希望の持てるニュースが届いていること、大統領選ではバイデン氏が勝利を確実にしたことで市場はポジティブに反応しているものの、若干期待先行の部分がある、と青木氏は指摘。

「ワクチンが期待通りの速さで供給されるかはまだ不透明ですし、副作用などについての情報が今後出てくるかもしれません。また米議会で共和党が多数を占める“ねじれ”状態が続けば、財政の決定が機動性を欠くことも考えられます」

そうした調整局面への注視は必要なものの、短期で見れば超低金利・超金融緩和をベースとした緩やかな経済回復は当面続くというのが青木氏の見立てだ。

中長期的な観点でコロナ後の10年のマーケットを見ていくにあたっては、世界が直面している構造的な問題から見ていく必要があるという。

注目すべきポイントとして、最初に挙げたのが高齢化だ。日本は1992年から超高齢化社会へ突入し、米国や欧州、中国でも2015年頃をピークに生産年齢人口は減少を始めており、いまや世界中が高齢化しているといえる。

そして2つ目のポイントが、技術の構造的変化。イノベーションの影響が及ぶ範囲とその拡大のスピードが、文字通り昔とはケタ違いであることが資料で示された。しかも自動車や航空機、電話といったかつてのイノベーションと大きく違うのは、一部のセクターや一部の企業だけが利益を独占できる状況になっていることだという。

「モノの製造で経済成長を実現する時代からサービスで成長する時代へと変化してきましたが、同時にそれは貿易摩擦を生じさせ、格差の拡大を助長する結果にもつながっています」

さらに昨今の米中経済対立が、事態の難しさにいっそう拍車をかけていると青木氏。米国が強硬に進める中国IT大手ファーウェイに対する規制に、賛同しているのが日本や豪州など。反対は欧州や中東などであり、両陣営のGDPはほぼ互角。まさに世界が真っ二つに割れている状況だ。バイデン氏の就任で貿易面での摩擦は多少緩和される可能性があるものの、技術的な対立はそう簡単に解消されないと青木氏は見ている。

日本はこの危機を乗り越えられるのか

世界の構造変化が進む中で起こった、今回のコロナショック。それは世界をどう変えたのだろうか。

「プラスの側面でいえば、社会のデジタル化は劇的に進展するでしょう。教育、医療、農業、流通といったデジタル化が遅れていた分野で進展を期待します。ただし同時にそれは、新しい技術に対応できる企業とできない企業、対応できる労働者とできない労働者の格差を生むことにもなります」

さらに青木氏が懸念するのは、日本も含めた各国による巨額の財政支出だ。コロナショックに対応したグローバルな財政支出の規模は、現時点で世界のGDPの5%に上る。これはリーマンショックの2008年と2009年の2ヵ年で実施された規模の倍以上だ。まだ事態の収束が見通せない現状を考えると、各国の政府負債残高はしばらく拡大の一途をたどる可能性が高い。

財政によって経済成長が元に戻るのであれば心配はないが、そう簡単にいくとは限らない。仮にお金が市中を回ることなく企業や家計の貯蓄を増やすだけに終われば、さらなる財政支出が繰り返され、低成長・低インフレの構造からなかなか抜け出せなくなる。ただでさえ高齢化により将来の財政負担は拡大することが見込まれる中で、各国はこの苦境をどう切り抜けようとするだろうか。

「考えられるのは増税です。所得税や法人税のほか、IT企業への課税、さらには富裕層に影響の大きい相続税や贈与税の制度改定もありうるでしょう。しかもそうした増税が一度ではなく、継続的・恒常的に続く可能性も否定できません」

しかし考えてみれば、日本の財政拡大路線は今に始まったことではない。バブル経済が終了した90年以降、約30年にわたって日本の財政は基本的に拡大を続けてきた。その状況と現在、そして今後は何が違うのだろう。

「これまで日本が破綻することなく、むしろ低金利で安定していた要因のひとつは、日銀が国債を大量に保有したこと。そしてもうひとつは、国の負債以上に民間に“稼ぐ力”があったという事実です。しかし先述のように高齢化、技術の構造変化、米中経済対立による世界の分断という大きな環境変化のなかで、日本の企業は“稼ぐ力”を維持できるのか問題視しています」

重要性を増す「実物資産」を含む分散投資

かつての日本は製造業に元気があり、モノを作って海外に売ることで巨額の貿易黒字を生み出してきた。しかし現在は新興国の台頭などによりそれをほとんど失い、海外純資産からの所得収支でかろうじて経常黒字を維持しているという。このまま日本の“稼ぐ力”が弱まっていけば、海外へ支払うお金のほうが多くなり、「悪い通貨安」「悪いインフレ」へとつながっていく可能性もなくはない。青木氏は、現時点でその確率が高いとまではいえないものの、リスクは徐々に高まっていると警鐘を鳴らす。

※上記はUBS証券株式会社による作成資料。留意事項はレポート末尾を参照

では、こうした状況で今後の投資戦略をどう考えるべきなのだろうか。

「リスクに備えた“分散”という考え方がますます重要になっています。これまで投資家は伝統的資産(国内株︎海外株/国内債券・海外債券)を中心に運用を考えるのが一般的だったと思います。しかし、先ほど話したように悪い円安・悪い金利上昇が起これば債券価格は下がり、株も下がる可能性があります。一方で現金はインフレリスクがあるため、貯蓄だけに頼るのも得策ではありません。私たちは今後の投資戦略において、従来の伝統資産だけでなく、非伝統的資産である不動産や金などの実物資産も積極的に活用していくことが重要と考えています」

実物資産の特性として特筆されたのがその安定性である。今回のコロナショックでも不動産価格は非常に安定しており、資産価値の保全として機能している。また、1970年代のオイルショック時のハイパーインフレ下においても、金と不動産は強い耐性を示している。

※上記はUBS証券株式会社による作成資料。留意事項はレポート末尾を参照

最後に青木氏は、そうした新しい投資戦略を考えていくうえで大切な「3つのL」について解説した。すなわちLiquidity(流動性の確保)、Longevity(老後への備え)、Legacy(資産の承継)だという。

「“流動性の確保”とは、この先2年から5年という短期的視点で、ご自分のライフスタイルを維持する資金という観点からポートフォリオを考えましょうということです。当面の生活が立ちゆかなくなることがないように、この部分ではリスクをとりすぎるよりも分散して安定収入を確保することを心がけましょう。“老後への備え”を考える際には、短期の変動を過度に気にせず、長期的に安定した運用計画が重要です。次の世代のためにご自分の資産をどう活かすかという“承継”の視点では、保守的な運用で確実に残すことを重視してもいい、反対にリスクをとって夢のある投資をしてもいい。どちらもあり得ます」

コロナ禍という非常事態の中、いままでの常識が通用しなくなることも多いだろう。先行きはまだ見通せないが、青木氏はグローバルとローカル、長期と短期といった幅広い視点と適切な戦略で、皆さまの資産を守り育てていきたいと締めくくった。

【第二部/石井氏】

有事のリスク耐性を高める不動産

青木氏の講演の中でも触れられた実物資産の価値、なかでも不動産の強みとはどのようなものか。またそうした強みをうまく資産形成に役立てるにはどんな手法がありうるのか。第二部では石井氏が実例を交えながら解説した。

最初の話題は、コロナショックが不動産の価値に与えた影響について。注目された2020年の基準地価(9月末発表)は、やはり全用途平均で前年比マイナス0.6パーセントと3年ぶりの下落となった。これまで上昇基調が目立っていた東京・大阪などの大都市圏においても伸びはほぼ止まり、特にホテルやオフィス、商業施設等で影響が大きかったという。

ただし、ホテルはインバウンドの増大を見越した大量供給傾向が続いていたところに、コロナによる需要の激減が直撃したという不運もある。一方で商業施設は夏以降に多少回復傾向が見られ、住宅賃料も現時点ではそこまで大きな下落は見られない。物流施設については、新設物件ではむしろ価値が上昇傾向にあるという。

「収益不動産の価値においては、その土地や建物から将来得られると期待される収益をベースに評価する『収益還元法』の考え方が重視されます。コロナの影響により短期的な賃料水準への影響は相当程度ありますが、不動産が収益を生む期間全体のなかで見ると、その影響は一時的と言えるのではないでしょうか」

石井氏は、保有資産に不動産を組み入れるメリットとして、有事の際のリスク耐性が強まる点を挙げる。モノ自体に価値があるため、株式等の金融資産と比べて価値が急落しにくいからだ。日本の不動産、金、株式、債券等の価値の推移を示した石井氏の資料を見ると、たしかに不動産の安定性が目を引く。

※上記は三井住友信託銀行株式会社による作成資料。留意事項はレポート末尾を参照

「インフレヘッジ機能の他に、中長期での安定収益、不動産を担保とした資金調達により投資効率を改善する、といった点も不動産を保有するメリットといえるでしょう。さらに資産家や会社オーナーの場合、不動産を上手に活かすことで資産防衛に役立てることもできます」

相続や事業承継に大きなメリット

たとえば個人としてではなく、資産管理会社を設立して不動産を取得する場合、所得税と住民税を合わせた最高税率が55パーセントであるのに対して法人税はそれより低く算定されるため、実質的な利回りを向上させることができる。また、役員報酬として家族等への所得分散を進められる点も見逃せない。

資産家にとっては相続対策という点でもメリットがある。一般に不動産の相続税評価額は市場流通価格(時価)よりも小さくなるため、不動産を保有することで相続税額を抑えられる可能性が高い。特に都心の商業地物件やタワーマンション等は時価と相続税評価額の差が大きくなりやすく、相続への影響は大きいといえる。

「仮に時価が500の土地と、500の建物を合計額1000で購入した場合、自分で使用する土地・建物であれば、相続税評価は750程度になるのが一般的です。第三者に賃貸した場合は、土地は貸家建付地評価、建物は貸家評価となるため更に評価は下がるほか、一定の要件を満たして『小規模宅地等の特例』が適用されれば更に評価が下がることになります(個人のみ)」

※上記は三井住友信託銀行株式会社による作成資料。留意事項はレポート末尾を参照

同族会社オーナーであれば、オーナーが個人で新たな不動産を購入し、本社を移転するという方法も考えられる。「特定同族会社事業用宅地」の適用要件を満たした場合、400平米までは相続税評価額が最大80%減額されるからだ。

信頼できるアドバイザーを持つこと

ただし不動産には、金融資産にはない特有のリスクもある。たとえばテナントの退去、地価の下落、建物の瑕疵、予期せぬ自然災害などがそれだ。また不動産は個別性が強く、上場株式のように整備された市場がないため、相場より高い価格で購入したり、反対に安く売却してしまったり、ということもありうる。

「土地・建物の価値は同じでも、賃貸借契約の内容によって価値が変わることもあるため、建物というハードだけでなく契約内容等のソフト面にも留意する必要があります。不動産の取得や活用を考える際には、こうした点を総合的に相談できる信頼できるアドバイザーを持つことが重要です」

石井氏は、不動産に過度に偏ったポートフォリオにならないよう、おおよそ運用資産の3分の1程度を目安にすることを勧める。また用途別や地域別など、不動産のなかでも分散を考えることが重要だとして、最後にこんな言葉でセミナーを締めくくった。

不動産は実態のある資産ですので、自分の目で建物の外観や仕様、内装等を見て、周囲の環境等も確かめたうえで選ぶことが大切です。よく『不動産は縁物』といわれるように、すべての不動産は一つひとつ異なります。条件面で比較検討することも重要ですが、最終的にはご自分の感性に合う物件かどうかで選択する。それも不動産投資の醍醐味ではないかと思います」

世界水準のサービスを日本のお客様へ

スイス・プライベートバンクの伝統を引き継ぎ、世界でもトップクラスのウェルス・マネージャーであるUBSと、本邦唯一の専業信託銀行グループとして、信託分野の専門性と総合力を駆使したソリューションメニューを持つ三井住友信託銀行が、ウェルス・マネジメント事業で業務提携し、誕生した新ブランド「UBS SuMi TRUST」では、2社がそれぞれの強みを融合させて、世界水準のサービスを日本のお客様に提供いたします。さらには、金融商品・サービスのみならず、家族・事業などといった富裕層の方々が大切とお感じになるすべてを資産と捉え豊かな人生を包括的にサポートするために様々な取組を実施しております。

気になってはいるけど手をつけられていない。そのようなお悩みやご希望を抱えている方は、ぜひ「UBS SuMi TRUST」を検討してみてください。


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