本特集は、朝日新聞社メディアビジネス局による特集からの転用・転載です。

2020.08.30

【朝日新聞デジタル特集 vol.2】

社会は変わった。経営者も変わるべきか?

経済・市場動向

資産運用

Vol.1では、「コロナショックと投資」と題して、コロナ後のマーケットや経済環境の変化に関して、俯瞰的な視点からの予想と、それに対してどのように資産を守っていくべきかについてお届けした。Vol.2のテーマは「社会は変わった。経営者も変わるべきか?」。企業オーナーの視点から、社会や企業、そして家族や個人のあり方について考えたい。

アフターコロナは遠心力が働く経済に

コロナ後の世界予想について、まず話を伺ったのは経済評論家の伊藤洋一氏だ。

——コロナ禍で大きく社会や人々の行動が変わりました。アフターコロナ、ウィズコロナ、あるいは「新しい生活様式」といった言葉が取りざたされていますが、消費者の生活は今後どのように変化していくでしょうか?

馴れ親しんだ経済の形が大きく変容するだろうと思います。緊急事態宣言は解除されましたが、ウイルスの脅威はまだ続くわけですから、ウイルスがいる限りは人と人との間隔を基本的には空けないといけない。必然的に経済活動のボリュームが下がります。映画館に400人入るところを200人しか入れられないんだから。GDPも下がるでしょう。ただしモノが売れないかと言うと、オンラインで買う人は結構いるので、経済活動が全部消失するということでは全くない。経済はどちらかというと“求心力”があるものだけど、これからは“遠心力”が働く経済になるでしょうね。どういうことかと言うと、先ほど例として挙げた映画館は「人に来てもらわないとどうしようもない」ビジネスモデルです。人間と人間が接近することを前提とする産業によって構成されてきた従来の経済、これを”求心力”が働く経済と私は呼んでいます。一方で感染拡大によって、人間と人間が接触しない産業を中心とする経済、つまりは“遠心力”が働く経済へ急速に変化しつつあります。4月、IT株が中心であるアメリカのナスダック総合指数で、世界的EC企業やネット配信企業が過去最高値をつけたことからも明らかです。

消費者はもう過去の物差しで評価はしない

——コロナに対するワクチンや薬ができたら、元の生活には戻りますか?

戻らないと思います。なぜなら消費者が一定期間続けた行動というのはすぐには変わらないからです。それと、今回の危機で世界的に貯蓄率が高まる可能性がある。「数カ月暮らせるぐらいは貯金がなきゃダメだ」と世界中の人が痛感したと思います。アメリカではGDPの7割、日本は6割が消費と言われていますが、貯蓄率が上がれば消費は抑制的になります。経済成長の原動力としての消費は、戻ったとしてもスピードはゆっくりでしょうね。

——消費者の価値観が変われば、企業も変わらなければなりませんか。

消費者は新しい視点でビジネスを見ることになります。例えば緊急事態宣言下で店を閉めていたレストランが、解除後は店を開けますよね。そのときに、店の構造を変えなかったり、席と席との距離を取らなかったら、もう僕は行かないと思う。感染して数週間も病院にいなければならないのは嫌ですから。安全性が担保されないならレストランには行かない。つまり、レストランの評価が味だけではなくなる、消費者の見方が過去の物差しではなくなるということです。今までのプライドに引きずられたままで、消費者の価値観を機敏に受け取らないビジネスは行き詰まるでしょう。

経営者が持つべきは柔軟性と決断力

——こうした変化を受けて、経営者は何をするべきでしょうか。

まずは頭を切り替えることです。我々は1918年のスペイン風邪以来こんなに大きなパンデミックは経験してこなかった。だからみんな頭がついていかなかったのは間違いありません。ウィズコロナの時代が何年続くのか、それが過ぎたときに消費者はどういう行動するか。想像の中で考えていくしかない。頭の柔軟な人がいないと経済は回らないし、実力が試される時代になります。企業や経営者も同じことですよね。だって突然需要が蒸発するなんて経験したことがない。本当に実力があって臨機応変に考えられて、しかも会社のシステムを自分の力で変えられるような経営者が求められます。

——コロナ禍で、同じようにダメージを受けた産業でも、それぞれの企業の対応は分かれました。

例えば、航空会社が従業員に防護服の縫製に協力させることにしたというニュースがありましたよね。最初はみんな笑ったかもしれないけれど、あの決断をし、かなりの従業員が協力を申し出たというのは、やっぱりすごいと僕は思いました。会社としての長い苦労の歴史があの決定に至っているし、それは間違っていない。だって航空業界の需要は簡単には戻らない可能性があるわけだから。柔軟に変化の道を歩んでいる例ですよね。

今こそ優秀な人材確保と魅力ある会社作りを

——リモートワークなど働き方も変化していますが、会社は従業員へのサポートをどのようにしていくべきでしょうか。

「会社を辞めたい」という人はしばらくは減るでしょうね。コロナが起きる直前までは、どこに行っても求人の紙が貼り出されて、人手不足だった。でも今は全然見ません。突然労働者が余剰になった。そういう意味で言うならば経営者にとっては優秀な人材を集めるのに苦労しない時代になるかもしれません。だからと言って従業員に対して傲慢になってはいけない。経済はいつか戻るわけです。今こそ優秀な人を確保して、その優秀な人に、景気が戻っても働き続けてもらえるだけの面白い会社にしておくことが必要です。

——人材が離れない、魅力的な会社作りのために具体的に何ができるのか。ヒントがあればお聞かせいただけますか。

僕はこれまで多くのそういった企業オーナーの方にお会いしてきましたが、彼らはものすごく感受性が豊かです。街を一緒に歩いていると「伊藤さん、前こんなのあったっけ?」と真っ先に気がつくんです。ダメな経営者は、情報を自分で集めないんですよね。近くの部下から上がってくる情報しか集まらない。カスタマー目線が大事だってみんな言うんだけど、そうじゃない。今世の中はどういう方向に動いていて、街の景色はどう変わっていて、これが続いたらどうなるかという想像力の集積がなければ新しいビジネスの方向性は見えてきません。

街を1時間歩いてみると社会の変化が見えてくる

——街に新しいビジネスのヒントがある、と。

変化は一番最初に街に現れるんです。だから経営者には1時間必ず街を歩くことをお勧めします。スティーブ・ジョブズも思考に困ったときは会社の周りを歩いていたという話もある。自分の足で街を歩き、人と会う。リンクを追っていって、ニーズが見えたらそこに食いつく。そういう力とセンスが経営者に求められます。今まで大きくなった会社もみんなそうですよね。ある商品を作っていたら新しい需要が出てきて、それに応えていたらまた次の需要につながる。それまでお客さんじゃなかった人が突然お客さんになる可能性がある。例えばいま期待されている新型コロナウイルスの治療薬を作っているのは、フィルムを扱っていた企業です。フィルムに関連する技術を化粧品に応用し、さらに進出した医薬品業界において新たな需要で注目されました。「つながりの連鎖」をうまく活用した事例ですよね。過去の顧客にとらわれずに、自社の技術に関連するリンクを追っていって、新しいニーズを見出し、ビジネスを展開させた。

——思ってもみなかったところにニーズがあるかもしれない。それを見逃さずに、柔軟性と決断力を持ってビジネスを動かしていくということですね。

もう一つ言えるのは、インターネットやネットワークの知識がないとこれからの経営者は厳しいだろうということ。「和菓子屋にネットワークの知識は必要ないだろう」と言う人がいるかもしれません。でも今回の危機に立ち向かうことができた企業は、ネットとのつながり、ネットを通じた顧客のつながり、ネットを通じた新しい顧客の開拓を大事にしたはず。すべての経営者がネットワークに関する知識を求められる。「うちは老舗だからITは関係ない」という時代ではなくなっています。

思考スピードについていけるスタッフを身の回りに

コロナ危機は金融市場に大きな混乱をもたらしたと同時に、金融資産や不動産、自社株式など、企業オーナーやそのファミリーが保有する資産価値も大きな変動にさらされることになった。後半では、コロナ危機をきっかけに富裕層がどう資産を守っていくべきか、今年1月に誕生したUBS SuMi TRUST ウェルス・アドバイザリー株式会社カウンセリング部長の宇佐美正彰氏に話を伺った。

——まず初めに、UBS SuMi TRUSTはUBSと三井住友信託銀行の、ウェルス・マネジメント部門における事業提携で生まれた新ブランドとのことですが?

スイス・プライベートバンクの伝統を継承するUBSは世界でもトップクラスのウェルス・マネージャーで、金融資産の運用についてはグローバル金融機関ならではの幅広いサービスを提供しています。三井住友信託銀行は、長い歴史と高い専門性を持つ、本邦唯一の専業信託銀行グループで、日本国内における不動産、事業承継や相続のお手伝い、信託関連業務に関してはやはりトップクラスの実績です。両社がそれぞれ一流のサービスラインナップを揃えた上で、「お客様のために、お客様と一緒に、お客様にとって最も相応しいやり方を考える」という両社共通の価値観に基づき、お客様の具体的な状況に即した組み合わせをご提案していくということが、今回のコラボレーションの最も大事なところです。

——前半で伊藤さんは、社会の変化に対応するために、企業オーナーには柔軟性や想像力が必要とおっしゃっていました。宇佐美さんは、オーナーはどのようにして本業を変化に対応させていくべきだと思われますか?

そうですね。ちょっと質問をはぐらかすようで恐縮なのですが、企業オーナーの方々というのは皆さんすでに必死で考えています。私たちが外から、オーナーは今こうするべきだ、と申し上げるのはどこか違うんじゃないかと思っているんです。むしろそのオーナーの方々が必死で考えていくアイディア、あるいはその思考のスピードに周りのスタッフがついていけることが大事なのではないかと。何を考えるべきかはもうオーナーの方々が一番わかっていらっしゃいますし、これだけ変化の激しい時代ですから、考えるスピードやその振れ幅も今までとは違ってくるはずです。それに付いていくことができるスタッフ、パートナーを身の回りに置くことが必要なのではないかと思います。

——コロナショックでは、いろいろなことを考えないといけないタイミングが急に来てしまったといえます。

事業の再編やサプライチェーンの再構築なども皆さん考えていらっしゃると思います。さらに個人の資産をどうするか、承継対策をどうするか。オーナー会社の場合、オーナーの方の頭の中では、会社のことと個人のことときれいにはわけられないですよね。

例えばコロナの影響で不動産はこれから動くと思います。その時に、買いなのか売りなのか。お客様の置かれた状況はそれぞれ違います。今まで地方にあった会社の拠点を都心に移してきたとしても、もう一度外に出さなくてはいけないかもしれないし、その逆もあるかもしれません。事業の状況によって違うわけです。いざ不動産を買うとしても、その方法も様々。会社で買うのか、オーナーが個人で買って会社に貸すのか、資産管理会社を作ってそこで買って貸すのか。あるいはM&Aの形で会社を買うという方法もあります。どの形態が望ましいかは目的によって違いますし正解は一つではない。事業のための投資でも、どのような形で実行するかは、会社と個人を横断的に、かつ中長期的にも見たうえで検討する必要があります。そこをシームレスに対応できるのが我々の強みでもあります。

自社株の承継はいつがベストか?

——企業オーナーの方々は、会社の経営者でもありますし家族の長でもいらっしゃいます。社長として事業をやっていく一方で、ご家族の永続的な繁栄についても考えていかないといけない。例えば個人やファミリーの資産の観点で、今対応しておくべきことはどんなことでしょうか?

企業オーナーの皆さんは、事業のことは必死で考えますが、家族の資産についてはどうしても後回しになりがちですね。でも個人の資産をどうするかについても同じく重要なタイミングにあるはずです。
例えば事業承継についてです。これはよく耳にされると思いますが、会社の株価が下がったときはその自社株を承継するチャンスだと言われます。オーナー会社の場合、自社株をどう承継していくか考えていないオーナーはいないと思いますが、具体的な対策を立てられていないケースは多いです。また既に計画を立てていらっしゃるとしても、コロナで世の中が大きく変わり、この何年かの間に事業のあり方も会社の評価も変わっていく可能性がありますよね。そうなると、今まで考えていた事業承継のプランを見直す必要があるかもしれない。タイミングと方法について、やはり一度チェックしておくべきだと思うんです。UBSは欧州においてファミリービジネスサポートの長い経験を持ち、お客様へ情報提供を行っています。また三井住友信託銀行は日本において事業承継のサポート専門のスタッフを置いてもう30年以上やっていますから、かなり豊富な経験を積んでいます。きっとお役に立てると思います。

——伊藤さんのお話では、情報収集術についても触れられていました。

企業オーナーをはじめ、富裕層の方々のところには、不動産業者だったり証券会社だったり、各社が熱心に営業に来られていると思います。それに対して、お客様がバランスよく全体をみて取捨選択し、最適な解をご自身で導いていかれるのは大変なことです。そういうところを任せられるパートナーがいればご安心ですよね。もちろんいきなり「一緒に考えさせてくれ」と言っても、ちょっと唐突感が有るでしょうから、最初はセカンドオピニオンを取るイメージで、どういうことができるのか聞いていただく。そういうチャンスをいただけたらありがたいと思います。


UBS証券株式会社は、UBS SuMi TRUSTウェルス・アドバイザリー株式会社の委託金融商品取引業者です。
UBSチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)は、UBSウェルス・マネジメントの調査部門です。日本においてはUBS証券株式会社ウェルス・マネジメント本部の部門です。 UBS SuMi TRUST ウェルス・アドバイザリー株式会社はUBSグループ、三井住友信託銀行グループの戦略的提携によるマーケティング会社です。

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